野球の投球動作や腰を捻ると痛みが走る10代男性の相談事例

嶋津

柔道整復師(国家資格)

 

患者情報 :19歳 男性 大学生2回生 野球部(ピッチャー)

 

【問診】

<お悩み>

 

野球少年

 

1ヵ月半前に野球のピッチング中に左腰に痛みが走り、それが続いている。

 

<患者様からお伺いしたこと>

 

Q,一カ月半前から痛みに変化はありますか?

 

一度、半月前には歩いていても腰が痛くなるような状態になり、しばらく練習を休み安静にしていました。

 

すると痛みはなくなりましたが、練習を再開するとすぐに痛みが戻ってきました。

 

Q,痛みの出る動作はありますか?

 

今痛みを感じる動作は、寝ている状態から起き上がる動作、腰を捻る動作、野球の投球動作です。

 

動かなければ特に痛みは出ません。

 

Q,痛みはどんな種類の痛みですか?

 

痛みは鋭い痛みが走ります。

 

Q,起床時に痛みを感じたり、下半身にしびれを感じることはありあますか?

 

朝に起きた時に痛みを感じる事があります。

 

腰や足にしびれを感じたことはありません。

 

Q,野球ではずっとピッチャーですか?

 

ピッチャーのポジションは大学からで、それ以前は野手をしていました。

 

Q,練習後にストレッチはしていますか?

 

練習後のストレッチはほとんどしていません。

 

Q,今回の痛みで整形外科等を受診されましたか?

 

腰のレントゲンを撮りましたが、特に問題はなく筋肉の疲労と診断されています。

 

治療としては湿布をはり、様子を見るということです。

 

【検査】

腰の痛みの原因を調べる為に以下の検査を行いました。

<動きの検査>

腰の動きの検査

前屈をした際に90度曲げたところで左腰の部分(腰方形筋)に痛みがでました。

 

上を向き、胸を張る動作をするだけで骨盤の周辺に痛みがでました。

骨盤の動きの検査

うつぶせで片足ずつ膝を曲げていくと腰が浮いてしまい、骨盤の動きが悪い状態であることが分かりました。

 

特に左側の足を曲げた時に動きが悪く、腰が浮いてしまいます。

股関節の動きの検査

股関節の動きは正常な範囲でしたが、筋肉が硬く、動きがにぶくなっていました。

 

特に外旋筋、腸腰筋という筋肉が緊張して硬くなっている状態でした。

 

ふとももの内側の筋肉が非常に硬く、股関節が開きにくくなっていました。

上半身の動きの検査

座った状態で手を横に伸ばし反対の手で手首をつかみにいくと、右も左も腕をつかめない状態でした。

 

このことから肩甲骨がうまく動かせていないと言えました。

 

この状態でピッチングをすると、腰にかかる負担が大きくなってしまいます。

<神経症状の検査>

・坐骨神経の検査を行いましたが、異常は見られませんでした。

 

・足の力の入り方の検査を行いましたが、異常は見られませんでした。

<筋力の検査>

・お腹周りやお尻周りの筋力を測定ましたが、特に異常はみられませんでした。

<その他の所見>

・立った姿勢からの前屈動作では体の動きが非常に悪く、「腰椎-骨盤リズム」と言われる、背骨と骨盤の動きの流れが上手くできていませんでした。

 

特に骨盤を前後に動かす動作が硬い状態でした。

 

・指圧施術後、前屈動作は改善し痛みも半減しました。

 

【検査結果から分かること】

<痛み、症状の分類>

腰の痛みには、大きく分けて筋肉を包んでいる筋膜を痛めている筋膜性の腰痛と椎間板(背骨の間の部分)を痛めてしまう椎間板性の二つの腰痛があります。

 

今回は出ている痛みは筋膜性によるところが大きいですが、すぐに繰り返してしまっているところから椎間板も悪くなっている可能性が考えられました。

<腰痛の原因の分析>

股関節周辺の筋肉の固さが、腰を曲げる前屈動作での、腰椎が曲がり、骨盤が曲がり、股関節が曲がるという一連の流れの中で骨盤の動きを悪くし、腰に負担がかかり痛みを生んでいると考えられます。

 

また投球動作をする時の肩甲骨の動きの悪さを腰がかばっているので、更に腰を痛めやすい環境が出来てしまっていると言えます。

 

【施術計画】

腰の整体

<施術目標>

筋肉の炎症をとりながら、骨盤の動きをよくしていく事を提案しました。

<施術期間と通院頻度>

通院期間は約1か月半で、1週間に2回の通院ペースをお伝えしました。

 

痛みの強い、初めの1週間は週に3回、詰めて来院されることをお勧めしました。

<施術方針>

痛みを抑えていく施術を行いながら、骨盤周りの固くなっている筋肉を正常に戻し骨盤の動きを良くしていきます。

 

具体的には痛みを抑えるには背骨の横についている筋肉(脊柱起立筋、腰方形筋)を緩めていき、骨盤の動きを良くしていくには股間周辺の筋肉(外旋筋、腸腰筋)太もも周辺の筋肉(内転筋、四頭筋)の動きを良くしていく必要があります。

 

上半身の動きの悪さに関しては、腰の痛みが落ち着いてきたら肩甲骨周辺の筋肉を緩めることで改善を図ります。

 

同時に肩甲骨のストレッチをしていくことで練習後のセルフケアを進めていきます。

 

施術の進捗状況は、立った姿勢からの前屈の動作の中で、骨盤の動きや股関節の動きを見て判断していきます。

 

【施術経過】

肩の整体

2回目の施術終了後

施術後の痛みはましになっていますが、練習をすると痛みが戻る状態でした。

4回目の施術終了後

痛みは初診時に比べると半減した状態で落ち着いており、朝の起床時の痛みも少なくなってきていました。

 

前屈動作での骨盤の動きの悪さは依然ありましたが、前屈動作での痛みはなくなりました。

 

痛みも落ち着いてきたため、上半身の動きの改善のため、肩甲骨周辺の筋膜を緩める施術も進めていきます。

 

【まとめ】

今回の患者様は、大学野球のピッチャーで、練習中に起こった左腰の痛みで来院されました。

 

詳しく検査を行った結果、この患者様の場合、前屈動作を行う際の「腰椎―骨盤リズム」と肩甲骨の動きの悪さが顕著に見られました。

 

この「腰椎―骨盤リズム」とは、前屈動作を行う際に、腰椎・骨盤・股関節の三つの部分が連動して動く流れを言います。

 

その中で動きの悪い部分があると、その他の部分に過剰な負担がかかることになり、痛みの出る原因となります。

 

この患者様の場合、股関節の筋肉が硬く、骨盤の動きが悪いことで腰に負担がかかる状態であった上に、野球の投球動作で必要な肩甲骨の動きも悪かったことで更に腰が無理をしてしまっていました。

 

現在は筋膜による痛みが主になりますが、背骨にかかる負担も多いことで椎間板にも問題がある可能性も考えられました。

 

そのため、筋膜の痛みを抑えつつ、骨盤の動きの改善を目指し施術を行っていきました。

 

数回の施術で痛みも落ち着いてきたため、更に肩甲骨の動きの改善も含めて、腰に負担のかからない体を目指し今後も施術を進めていきます。