歩き方がおかしいとお悩みの30代女性のケース

患者情報:36歳女性

【問診】

<お悩み>

歩き方が左右に揺れていると家族に言われたことが気になって、外出を前向きにできないのが辛かったです。

 

 

<問診でお伺いしたこと>

Q、今まで歩き方や腰、下半身のお悩みで病院にかかられたことはありますか?

特にありません。

 

Q、どんな動作をした時に、どこにどんな痛みを感じますか?

寝返りを打つ時に、腰に痛みを感じました。

また、長時間同じ体勢が続くと、腰に重い感じがしました。

股関節には痛みなどは特にありませんでした。

 

Q、お仕事はどういった作業が多いですか?

仕事はデスクワークで、一日8時間、座っている姿勢が続きます。

 

Q、何かスポーツはされていますか?

スポーツはしたことがありません。

 

Q、仕事以外で、体の負担になるようなことはありますか?

身内の介護でストレスを感じることが多いです。

 

【検査】

<動きの検査>

・腰の動きの検査:前屈した時には痛みはありませんが、後屈した際に腰中心の筋肉(起立筋)に痛みが出ました。

腰をねじるような動きでも痛みはありませんでしたが、腰を曲げる動作の流れをみる検査では、動作の流れに問題があることが分かりました。

・股関節の動きの検査:股関節は内回り外回り共に、緩いことが、つまり動きすぎるということが分かりました。

股関節が動きすぎると、本来の歩行動作などで使われる筋肉が使われなかったり、逆に使われすぎたりという問題が起こってきます。

うつぶせになって足をお尻に近づけ、筋肉の状態をみる尻上がり検査では、左右共にお尻があがり、問題があることが分かりました。

 

<神経症状、筋力の検査>

・いくつかの神経症状の検査を行いましたが、特に問題はありませんでした。

・筋力の検査ではお尻の上部にある中殿筋の筋力が弱く、お腹の横側にある腹横筋も筋力が弱いことが分かりました。

 

<その他の検査>

・トレンデレンブルグテスト:立っている状態で片足ずつ足をあげてもらい、骨盤の傾きをみることでお尻の筋肉である中殿筋が機能不全を起こしていないかを判断する検査です。この検査では、中殿筋の機能に問題があり、これが歩行に関連している可能性が疑われました。

・歩行時に手を振ることがなく、手を振って歩くよう指示すると、手と足が一緒に出る状態でした。

・さらに、デュシェンヌ歩行と言われる、骨盤の傾きに上半身も同様に傾いて揺れるような歩き方でした。

・筋肉の状態としては、骨盤の前側の筋肉、大腿筋膜張筋の張り感が強く、腰の筋肉(起立筋、腰方形筋)の筋肉が硬くなっている状態でした。

 

【検査結果から考えられること】

<歩行障害の分類>

歩行時に左右に体がぶれてしまうのは、お尻の筋肉(中殿筋)の筋力が弱いことにより骨盤が下がってしまうのを防ぐために、体幹を軸足側に傾けていると考えられます。これを体の部位の機能不全を体の他の部位が代わってその働きを担おうとする代償作用といいます。

また、歩行時に手を振らずに歩いていることも、その分腰椎が本来手を振ることで歩行時の回旋動作を担っているはずが、腰椎にその負担が要求されてしまっていることで、体幹が外へ倒れてしまっていると考えられました。

 

 

<歩行障害の原因は?>

患者に手を振って歩行するように指示を出して歩いてもらうと、骨盤が極端に下がってしまう状態は軽減したことから、以下のことが歩行障害の原因と考えられました。

  1. 手を振らず歩く、歩き方のクセの問題
  2. お尻の筋肉である中殿筋と、太ももの内側にある内転筋群の安定していないこと
  3. 上半身と骨盤を繋ぐ仙腸関節の動きがわるいこと

これらのことから、左右に揺れるように歩いてしまうデュシェンヌ歩行を起こしてしまっていると結論付けました。

 

【施術】

<施術方針>

中殿筋の筋力強化をEMS(波動電流)施術で行い、手技で腸腰靭帯、腰方形筋を正常な動きへ戻していきました。

同時に、歩行時の体の使い方を根本的に見直し、患者様に指導しました。

太ももの内側の筋肉、内転筋の筋力ついては、セルフトレーニングで強化していってもらいました。

患者様自身の日常動作の改善、歩行時の意識を徹底してもらうことが、体や動きのクセをとっていくのに一番重要でした。

 

<施術目標>

3カ月でお尻の中殿筋が安定する状態を定着させ、腰を使う一連の動作の流れを正常な動きの流れにすることで、患者様の一番の悩みである歩き方の問題を改善していきました。

また、歩き方が恥ずかしいと積極的に外出するのを嫌ってしまっていたお悩みを解決します。

その他、歩行のスピードをあげ、大股で歩くことによって歩幅を広げ、お尻の筋肉をしっかりと使っていくこと、その際、なるべくカバンではなくリュックを持つことで手を振って歩けるように指導しました。

座っている姿勢では、本や枕など厚みのあるものを膝に挟み、太ももの内側の筋肉が収縮するようトレーニング方法もお伝えしました。

また、横向きに寝ている状態で、足を上げ下げする運動を片足30回×3セットを行うことも指導しました。

【経過】

施術を始め一カ月10回の施術を行い、お尻の筋肉(中殿筋)の筋力が上がってきていること、骨盤まわりがしっかりと動きが出てきていることからほぼ正常に近い歩き方が出来るようになってきていました。

まだ手を振ることを意識すると、手と足が一緒に出てしまうこともありましたが、これは小脳が動作をする時のパターンを覚えてしまっているためで、これからも継続して意識をさせていくことが必要です。

歩行の仕方がおかしいと言われたご家族にも歩き方が改善されたと認めてもらえたことで、気持ちも明るく前向きになってきておられました。