バレーボールのジャンプ中に首を痛めた男性の改善事例

患者情報:43歳 男性

 

【問診】

<お悩み>
  1. 来院前日にバレーボールの練習中、左腕を伸ばした状態でジャンプして、飛んでいるボールを取りに行った。その時に左の首から肩にかけて(左頸部から肩部、板状筋、僧帽筋部)痛めた。
  2. 5、6年前から右肩関節の動きにくさを感じ、サーブの動作で腕が動かしにくく、後ろに腕が引けず痛みがある状態だった。

今回首を痛めたことをきっかけに右肩も改善したいとのことでした。

 

<問診でお伺いしたこと>

Q,これまでに肩の痛みなどで整形外科や整骨院にいかれたことはありますか?

いえ、ありません。

 

Q,まず首回りの痛みについてお聞きします。どんな体勢や動作をした時に、どこにどんな痛みがでますか?

どの体勢でも左の首から肩にかけて(左板状筋から左僧帽筋にかけて)の痛みがありました。 

下を向く姿勢が一番症状は辛く、鋭い痛みが走る状態でした。

 

Q、痛みは酷くなっていますか?

昨日の怪我をした当日に比べれば、今朝はマシでした。

 

Q、腕や手にしびれはありますか?

しびれはありませんが、くしゃみをした時に首から肩にかけて鋭い痛みが走りました。

 

Q,続いて肩の関節についてお聞きします。痛みはどこに強く出ますか?

 右肩の関節の部分に痛みがありました。

 

Q,痛みはいつ頃からですか?

痛み自体は10年前からありました。徐々に悪化してきているように思えます。

 

Q,痛むきっかけはありましたか?

特にありません。

 

Q,右肩周辺にしびれはありますか?

特にありません。

 

Q,どんな動作をした時に痛みが出ますか?

ボールを打つ動作で痛みが出ました。バレーボールをしている際は、痛みを我慢しながら、無理やり肩を動かしながらしている状態でした。

また、日常生活ではシャツを着る動作で痛みがありました。

それ以外の、安静にしている時や肩の痛みが出るまで肩を動かさなければ、特に痛みはありません。

 

【検査】首から肩にかけてと、右肩の関節の痛みの原因を探るべく、検査を行いました。

<動きの検査>

首の動きの検査:首の動きに関しては、上下左右どの方向へも動かすことが出来ず、どの姿勢になっても、また安静にしている時でも首から肩にかけて痛みが出る状態でした。

左右に頭を倒す動きでは、右側に倒した際に左の首から肩にかけて鋭い痛みが走りました。

 

・左肩関節の動きの検査:動きに特に問題はありませんでした。

・右肩関節の動きの検査:後ろに引く動作には問題はありませんでしたが、外に上げる動作では通常180度まで上がるところ、120度まで上げたところで肩関節に痛みが出ました。

前に上げる動作でも通常180度あがるところ、150度まであげたところで肩関節に痛みが出ました。

 

また、外に上げる動作、前に上げる動作では、動きが止まった角度で、肩の前や後ろに痛みが走り、これ以上動かない固まった状態であることがわかりました。

さらに、右内側に肩を回す動作で肩関節に引っ掛かりを感じ、それ以上動かせない状態でした。

 

<筋力テスト>

・肩関節を覆う筋肉である三角筋の筋力テストでは問題が見られ、左側に首を傾けた際にやや弱いことが分かりました。

・お腹の外側にある深部の筋肉、腹横筋も筋力が弱いことが分かりました。

・首の下から肩甲骨にかけての筋肉、菱形筋の筋力も弱く、特に右側に異常が見られました。

 

<その他の検査>

腕をまっすぐ横に伸ばした状態で反対側の手首をつかみに行くリーチング検査では、右手で左手首を掴みに行く動作で肩関節の内部にひっかかりがありました。

 

<その他の状態>

・肩甲骨が前に傾いているいわゆる巻き肩の状態でした。

・頭が前に傾くストレートネックの姿勢でした。

・肩の後方のくぼみ部分(QLS)と肩前方の深部の筋肉(小胸筋)に指圧施術を行ったところ、右肩の動く範囲が広がり、動かしやすくなりました。

・首の横側の筋肉(斜角筋)と、鎖骨の下にある筋肉(鎖骨下筋)の指圧後は、安静にしている時の痛みが和らぎ、首の痛みなどの症状が半減しました。

・夜間に痛むことなどはありませんでした。

 

【検査結果から分かること】

<痛みの分類>

1.首から肩にかけての痛みについて

どの体制でも痛みがあること、痛みの出る部位、くしゃみで痛みがでること、さらに怪我をした時の状況から、椎間板症の疑いと筋膜性の疑いがありました。

ボールを取ろうと腕を伸ばしながらジャンプした時に、首をひねり、その際に骨と骨の間でクッションの役割を持つ椎間板へ圧力がかかり症状が現れたものと考えられました。

 

2.右肩関節の痛みについて

肩関節の動きの問題や動きの限界で痛みを感じること、またバレーボールを打つ動作や、シャツなどを着る日常動作での痛みなどを考慮した上で、肩関節周り(前鋸筋、QLS部、小胸筋)に硬さが見られることから、長年にわたり、肩周りの筋肉が硬い状態だったことで動きに問題が生まれ、結果として関節が固まっている状態だと考えました。

 

<痛みの原因は?>

首から肩にかけて、また右肩関節の痛みはともに、元々生活されてきた体の使い方、姿勢自体に問題があると考えられました。

ストレートネックの姿勢や巻き肩の姿勢から、頸椎の下部が常に曲げられている状態が続いたことで、頚椎の中でクッションの役割を果たす椎間板にストレスがかかっていた中、バレーボールのボールを取りに行く動作がきっかけで痛めたと考えました。

 

 

【施術計画】

<施術期間>

首の痛みに関しては、頚椎の椎間板にかかる負担を減らすことと痛みの軽減と、首の筋と肩の深部の筋肉、小胸筋の硬さを改善することに3週間の施術期間が必要と考えました。

右肩関節に関しては、長年の症状なども考慮し、上半身の姿勢の悪さである上位交差性症候群、いわゆる猫背を改善しない限り改善は見込めないと考えたので、3か月の施術期間をお伝えしました。

 

<施術方針>

・短期での施術プランの場合

 椎間板自体を改善していくことは出来ませんので、椎間板にかかる負担の軽減、肩甲骨部(肩甲胸郭)の動きの改善のために、指圧施術は肩周辺の筋肉部分(斜角筋、肩甲挙筋、小胸筋、前鋸筋)に対して行っていきます。

また痛みを抑え、動きを更によくするため、電気施術を首から肩甲骨の筋肉(頸椎、肩甲骨、僧帽筋)にあてていきます。

 

・長期でのプラン

上位交差性症候群、いわゆる猫背の改善が必要になります。

痛みを抑えるだけでは根本的な改善につながらない為、ストレートネック、巻き肩、肩甲骨の動きの改善を行います。

そのため手技により斜角筋、QLS部、小胸筋、鎖骨下筋、肩甲挙筋、菱形筋、僧帽筋下部の首から肩にかけての部分の動きを改善します。

 

・その他、症状に応じてマッケンジー体操の指導を行います。

・首の症状の経過を観察した上で、ストレッチポールを使用して深部の筋肉の強化と肩関節、肩甲骨の動きの改善を行っていきます。

 

【施術経過】

・施術2回目で首の痛みは半減しました。

 

・施術6回目で首の痛みほぼなくなり、右肩関節の動きは施術後改善し、バレーでのボールを打つ動作は可能になりますが、次の来院時には症状は戻ってしまう状態です。

今後も経過を観察していきます。