★腰の痛みがなかなか引かず、立ち上がる動作が一番しんどい60代男性の改善事例

田村

 

 

患者情報: 60歳 男性

 

【問診】

<お悩み>

入院中に少し動こうとした際に腰に痛みが出てきた。

すぐに痛みが引くと思っていたが、なかなか完治せず長時間座っていた後の動き出しがとても辛い。

 

<患者様からお伺いしたこと>

Q,痛みだした時の状況を詳しく教えて下さい。

 

入院は3週間程していました。

痛めてすぐは腰の真ん中が痛みましたが、今では腰全体的に痛みが出ています。

痛み自体は初め、刺すような痛みでしたが、数日経つと刺すような痛みは和らぎました。

 

Q, どんな動作が辛いですか?

 

長時間座っていた後に立ち上がる動作が一番つらいです。

 

Q,楽な姿勢はありますか?

 

横になって寝ていると、痛みも楽に感じます。

 

Q, 最初に感じた痛みの度合いを10とすると、今の痛みはどれくらいでしょう?

 

現在は、痛みの強さは10から5~6くらいまでは軽減しています。

 

Q, これまでに腰を痛めたことはありますか?

 

過去にぎっくり腰をした事がありますが、それを治療はした事はありません。

 

Q,しびれを感じますか?

 

痺れるような感覚はありません。

 

Q, 今回の腰の痛みで整形外科等を受診されましたか?

 

腰の痛みがなかなか引かず、整形外科を受診しました。

レントゲン検査を行い、背骨のL5/S1間が少し狭くなっていると言われました。

 

【検査】

腰痛の原因を調べる為に、以下の検査を行いました。

 

<動きの検査>

・腰の動きの検査:

前屈をした際に、痛みが少しあり、25度までしか曲がりませんでした。

後ろに反った際に、痛みはありませんでした。

左右に捻った際に、痛みはありませんでした。

 

・股関節の動きの検査:

股関節を捻る動作が硬く、お尻側にある外旋筋群という筋肉と、股関節の前側にある腸腰筋という筋肉が緊張している事が疑われました。

 

・背骨の動きの検査:

胸椎(背骨の背中にあたる部分)の動きが少し悪くなっている可能性が疑われました。

 

・骨盤の動きの検査:

うつ伏せの姿勢で検査をしたところ、骨盤の後ろに存在する仙腸関節という関節の動きが悪くなっていました。

 

<神経症状の検査>

 

・神経症状の検査を2種類行い、どちらも異常はありませんでした。

 

<筋力テスト>

 

・インナーマッスルの筋力検査:お腹の深部にあるインナーマッスルの筋力は弱まっていました。

 

・お尻の筋力検査:左右共にお尻の筋肉の筋力は弱まっていました。

 

【検査結果から分かること】

 

<腰痛の分類>

 

今回の腰痛に関しては、筋膜性による痛みが疑われます。

腰痛には筋肉を痛めてしまう筋膜性のものと、背骨の間のクッション性の椎間板を痛めてしまう椎間板性のものに大きく分けられます。

今回の患者様は整形外科を受診しレントゲン検査から背骨と背骨の間が少し狭くなっていると言われてはいますが、神経症状の検査等で異常がなかった事や、椎間板性の腰痛に見られる所見がなかったため、筋膜性の腰痛が最も疑われます。

 

<筋膜性腰痛の原因の分析>

 

まず股関節の動きと仙腸関節という骨盤の後ろに存在する関節の動きが悪いことにより、立ち上がる動作や日常生活での動作において動きの悪い関節を庇い腰が動き過ぎていることにより腰の筋肉に負担がかかっています。

またインナーマッスルやお尻の筋肉の筋力がそれぞれ弱くなっている事により腰の筋肉が代償的に働いてしまい、負担がかかっていると考えられました。

 

【施術計画】

 

<施術方針>

 

まず痛みを抑えるために、腰の筋肉(腰方形筋、起立筋)の緊張を緩めていきます。

また腰に負担をかけている、股関節と仙腸関節という骨盤の後ろに存在する関節の動きを良くするために手技(リリース)を行います。

そして痛みが軽減してくれば、安定性を高めるために電気療法で弱くなっているインナーマッスルやお尻の筋力を鍛えていきます。

ご自宅では、まずは動きを良くしていく目的でストレッチ等をアドバイスしていきます。

その後、状態に合わせてインナーマッスルやお尻の筋肉を鍛えるためにトレーニングを指導していきます。

 

<施術のゴール設定>

身体の動きを良くしていき、痛みを取っていく事、さらに痛みの出にくい状態にしていく事をゴールと提案しました。

 

<施術期間と頻度>

週2回の頻度で2~3ヶ月と提案しました。

 

【施術経過】

 

・2回目施術時:

痛みの程度は初診でお伺いした6→4~3まで低下していました。

しかし長時間座っている姿勢が続いた後の立ち上がる動作は痛みが強く出やすい状態でした。

 

・5回目施術時:

痛みの程度は6→2まで低下していました。

ただ、まだ体の動きは悪いためゴルフの素振りをされた後に痛みが出やすい状態でした。

 

・6回目施術時:

5回目施術の2日後に仕事に2日間出勤されており長時間座っている状態が続きました。

そのため、立ち上がりの際や歩いている際は痛みが出やすい状態でした。

しかし痛みの程度として悪化する事なく6→2程度でした。

股関節や仙腸関節の動きも少しずつではありますが良くなってきています。

 

今後は股関節と仙腸関節の動きをより改善していきながら安定性を高めるために施術をすすめていきます。

またご自宅でできるストレッチやトレーニングの指導を行いながら、計画通りに施術が進められる様に行っていきます。

 

【まとめ】

 

今回の患者様は入院中に腰を痛められ、そのまま痛みが継続していることでお悩みでした。

痛みの原因を探るべく検査を行ったところ、整形外科での背骨と背骨の間の間隔が狭くなっているという診断はありましたが、それが今回の痛みの直接的な原因ではなく、この腰痛は筋肉が硬くなったことで痛みが出る、筋膜性の腰痛であると考えられました。

筋肉の硬さをほぐすため、指圧と電気療法を使って施術を行いましたが、同時に動きが悪く腰の筋肉に負担をかける原因となっていた股関節と仙腸関節に手技で改善をかけていきました。

患者様にはご自宅でストレッチやトレーニングを行ってもらい、筋力をしっかりと安定してつけていくこともお願いしました。

現在は、徐々に痛みや動きの悪さも改善しつつあり、今後も経過をしっかりとみながら患者様と共に施術を進めていきます。