座っているより立っている時の方が左腰に痛みがある60代男性の相談事例

田村

柔道整復師(国家資格)

 

患者情報: 60歳 男性

【問診】

<お悩み>

2週間前からの腰の痛み。特に左腰の骨盤の少し上辺りに痛みがある。

 

<患者様からお伺いしたこと>

Q,どんな体勢の時に痛みますか?

 

座っているより立っているときの方が、痛みがあります。座っている時が痛みはマシになります。

 

Q,痛みがでる動作はありますか?

 

重い物を持つ時や前かがみになる時、後ろに反る時に痛みが出ます。

 

あとは、動き出しで痛みを感じることはあります。

 

Q,痛めてから、腰の痛みに変化はありましたか?

 

ここ2週間くらい痛みが出たり出なかったりしているが痛みが引かない状態です。

 

Q,痛みのある具体的な場所を教えて下さい。

 

左腰の低い位置で、骨盤の少し上の部分が痛くなります。

 

Q,下半身にしびれの症状はありますか?

 

2年程前から左の足首辺りから指先にかけてシビレがあります。

 

Q,これまでに腰の痛みで整形外科等を受診されましたか?

 

過去に整形外科でレントゲン検査を受けた時に、腰の椎間板がすこし飛び出していると言われました。

 

疾患名などは覚えていません。

 

Q,これまでに大きな怪我や病気をされたことはありますか?

 

20代の頃に左膝を痛めて、半月板を取る手術をしました。

 

それから左膝は90度程しか曲がらない状態です。

 

【検査】

腰痛の原因を調べるために、以下の検査を行いました。

<動きの検査>

腰の動きの検査

前屈と後屈の動き出しと、直立の状態に戻った時に左腰(骨盤に近い所)に痛みが出ました。

 

股関節の動きの検査

股関節を捻る動作が硬く、外旋筋群と腸腰筋という筋肉が緊張して硬くなっている事が疑われました。

 

骨盤(仙腸関節)の動きの検査

背骨の先端部分である仙骨の動きが悪く、うつ伏せの状態で片足ずつ膝を曲げてもらうと腰からお尻が浮いてしまい、骨盤の動きが悪い事がみられました。

<神経症状の検査>

神経症状の検査を行ったところ、左側のみ、神経障害の疑いがありました。

<その他の検査>

仙腸関節炎の検査

お尻と腰の間にある仙腸関節に炎症がないか検査を行ったところ、左側のみ炎症の疑いがありました。

<筋力テスト>

インナーマッスルの筋力検査

お腹の深部にあるインナーマッスルは弱くなっていました。

お尻の筋力検査

左右ともにお尻の筋力が弱くなっていました。

 

【検査結果から分かること】

<腰痛の分類>

今回の腰痛は、前かがみや後ろに反る時、また重い物を持つ時などどの動作でも痛みがあり、検査の結果からも左側の仙腸関節炎が疑われます。

 

また足にシビレの症状が2年前から出ており、検査結果からも異常が認められるため、腰の椎間板という背骨と背骨の間にあるクッション性のものが悪くなった椎間板性の腰痛の2つが疑われます。

<仙腸関節炎・椎間板性腰痛の原因の分析>

脊柱模型

 

こちらの患者様は、今回の急激な痛みはここ2週間の間に出ていますが、2年程前から椎間板を悪くされているため、少なくともその頃から腰に負担をかけていたと考えられます。

 

その負担となっている原因としては、

 

①股関節の動きが特に悪いこと

 

②骨盤(仙腸関節)の動きが悪いこと

 

③インナーマッスルというお腹の深部の筋肉が弱くなっていること

 

④大殿筋というお尻の筋肉が弱くなっていること

 

以上の四つの部分が悪く、これらは共通して腰に負担がかかりやすい身体の状態であると言えます。

 

股関節の動きと骨盤の動きが悪いと、それを庇うように歩く時やさまざまな動作で腰の筋肉に負担がかかります。

 

またインナーユニットが弱い事により、身体を支える力が弱くなるので、腰の筋肉が身体を支えようとして負担が掛かってしまいます。

 

さらにお尻の筋肉が弱い事により、歩いている際にお尻の筋肉の代わりに腰の筋肉が働くことになり、これも腰への負担の原因となります。

 

またこちらの患者様の場合は、20代の頃に左膝関節の手術で半月板という関節の中にあるクッション性の軟骨を取られており、それから左膝のみが曲がりにくくなっている状態です。

 

その状態で生活をしている中で腰に負担をかけてしまう原因がいくつも出てきてしまったと推測できました。

 

【施術計画】

腰の整体

 

<施術方針>

まず股関節の動きと仙腸関節という骨盤にある関節の動きが悪かったため、これらの動きの改善が重要になってきます。

 

具体的には、腰の痛みだけを取る施術だけでは楽になったとしてもすぐに負担がかかり戻ってしまうので、負担の原因である股関節の動きをよくしていく事が必要となります。

 

そのために腰から骨盤に付いている腸腰筋とお尻にある外旋筋群という筋肉の動きを良くしていきます。

 

また仙腸関節の動きを良くしていくために、腰から骨盤に付いている腸腰靭帯という靭帯の動きをよくしていく施術を行っていきます。

 

お腹の筋肉やお尻の筋肉が弱い事も腰の負担にはなっていますが、仙腸関節で炎症が起こっている可能性があるため、まずは腰と仙腸関節に対して電気施術を行い、痛みを軽減させていきます。

 

その後、状態に合わせて電気施術でお尻やお腹の筋肉を鍛えていきます。

 

自宅ではお尻の筋肉やお腹の筋肉を鍛えるトレーニングをアドバイスしていきます。

<施術のゴール設定>

2週間前から出ている腰の痛みが、感じない状態にしていきます。

<施術期間と頻度>

週2回、1ヶ月の期間でまずは股関節や仙腸関節の動きの悪さを改善していきます。

 

それでも改善が進まなければ、2~3ヶ月かけてお尻とお腹の筋肉を鍛えて腰への負担を減らしていきます。

 

【施術経過】

治療2回目は、初診時の施術後は楽であったが、数日動いていると痛みが戻ってきた状況です。

 

普段通勤で合計45分ほど歩かれるため、腰へ大きく負担がかかっていると考えられます。

 

【まとめ】

散歩をするシニア男性

 

今回の患者様は、2年ほど前から痛みやしびれといった症状があったものの、最近になって痛みが強く出たことでお悩みでした。

 

原因を調べるべく、様々な検査を行った結果、背骨と骨盤を繋いでいる仙腸関節という関節に炎症が見られました。

 

さらに、背骨と背骨の間にあるクッションの役割をする椎間板が原因で症状を引き起こしていることも疑われました。

 

この仙腸関節炎と椎間板性腰痛の原因として考えられるのは、股関節と仙腸関節の動きの悪さと、お腹とお尻の筋力の弱さでした。

 

これらはいずれも腰に大きく負担をかける要因となります。

 

そのため、施術としては動きの改善と筋力をつけていくことが必要になりますが、一旦は仙腸関節炎の炎症を抑え、痛みを緩和させていくことから施術を始めました。

 

今後は状態を見ながら、徐々に腰への負担をかけていく要素を一つずつ改善していくことで痛みをなくし、再発しない体へと施術を進めていきます。