お尻や足にかけて重だるい痛みがある70代女性の相談事例

患者情報 : 70歳 女性

【問診】

<お悩み>

 

腰が痛い高齢者

 

一年前から徐々にお尻が重だるい痛みがあり、歩いていたりや立っている姿勢が続くと痛みが強くなる。

 

<問診でお伺いしたこと>

 

Q,痛みは具体的にどの部分にでますか?

 

特に左のお尻の付け根の辺りから、太ももの裏、足の前の部分(前脛骨筋)の所に痛みがあります。

 

Q,どんな動作をすると辛く感じますか?

 

畑でお茶を作っていまして、その際に坂道を登らないといけません。

 

その坂道を上がると、重だるい痛みが出てきます。

 

また、家事の動作で立っている動作や、家の中を歩く動作は5分から10分ほど続けたところで、左お尻から足首までの重だるい痛みが出てきます。

 

座っている時間が長くなるとお尻周りの痛みが出てきます。そこから立ち上がっての歩く動作が辛いです。

 

Q,痛みがましになることはありますか?

 

痛みが出てきた時に、座らなくても、立っていたままで休憩すると、痛みはましになります。

 

Q,この痛みで整形外科等に行かれましたか?

 

いえ、行っていません。

 

【検査】

 

腸腰筋

 

腰痛の原因を調べるために、以下の検査を行いました。

 

(強い痛みを伴うような検査はありません。)

<動きの検査>

腰の動きの検査

腰を後ろに反らした時に、鈍い痛み腰からお尻の部分に出てきました。

股関節の動きの検査

股関節を捻る動作が硬く、股関節の前側にある、腸腰筋という筋肉の左側が緊張して硬くなっていました。

仙骨の動き

腰骨と尾てい骨の間にある仙骨の動きが悪く、うつ伏せの状態で片足ずつ膝を曲げる動作では腰が浮いてしまい、骨盤の動きが悪い状態でした。

<神経症状の検査>

特に異常はありませんでした。

<その他の検査>

仙腸関節炎の検査:お尻と腰の間にある仙腸関節に炎症が起きていないかを調べる検査を行いましたが、異常はありませんでした。

<筋力テスト>

インナーマッスルの筋力検査

お腹の深部にあるインナーマッスルの筋力が弱く、腰に負担をかけてしまう状態でした。

お尻の筋力検査

左右ともお尻の筋肉が上手く使えていないため、筋力が弱まっていました。

 

【その他の所見】

・治療後は歩きやすい状態へと改善されました。

 

・治療後、痛みも少し治まりました。

 

・実際に筋肉を触って治療していると、腰の筋肉にも固くなっている所や、痛みの強く出る場所がありました。

 

【検査結果から分かること】

<腰痛の分類>

 

歩いている時や立っている時のお尻からの痛みや、座っている姿勢から立ち上がっての痛みがあること、また、腰の伸展型障害の人でよく見られる、間欠性跛行(少し歩くと痛みがでて座って休まないと楽にならない症状)や夜に足が攣ってしまう症状や痺れの症状がありませんでした。

 

以上のことから、今回の腰痛は、筋膜性の腰痛と考えられ、背骨の中にある椎間板や、脊柱管という所には問題はなかったと考えました。

<筋膜性の腰痛の原因は?>

一年前から徐々に痛みが強くなってきたことから、少なくとも一年前から腰に負担がかかっていたと考えます。

 

その負担をかけている原因としては、

 

①股関節の動きが悪いこと

②骨盤の動きが悪いこと

③腹圧というお腹の筋肉が弱くなっていること

④殿筋というお尻の筋肉が弱くなっていること

 

の4つが考えられます。 

 

①~④の状態から言えることは、すべて腰やお尻の筋肉に負担をかけてしまいやすい体の状態だ、と言うことです。

 

股関節や骨盤の動きが悪いことで、それをかばう代わりとなる部分が腰の筋肉やお尻の筋肉がその動きの悪さをかばうことで負担がかかります。

 

さらにお腹の筋肉が弱いため体を支える力が弱く、代わりに腰の筋肉で体を支える事となってしまいます。

 

また、お尻の筋肉が弱いと歩き方や立っている姿勢にも影響があり、股関節や、骨盤に無理な負担がかかります。

 

その正しくない歩行や姿勢が、結果としてお尻の筋肉に無理な負担として返ってきて、痛みの症状が出てきています。

 

又、お尻の筋肉がうまく使えない為に、それをかばう様に太ももの筋肉やふくらはぎにも負担がかかってしまい、お尻だけではなく広い範囲にわたって痛みが出てきてしまっていました。

 

以上のように、非常に負担がかかりやすい体の状態ですので、少し歩いたりするだけで体が悲鳴をあげ、動作の度に休まないと回復しない体の状態になってしまったのです。

 

【治療計画】

 

ストレッチする高齢者

 

<治療方針>

まず、股関節の動きや、背骨と骨盤を繋ぐ役割をする仙腸関節という関節の動きが悪かったので、その動きを改善していくことが重要になってきます。

 

具体的には、お尻の痛みを取るだけの治療ではすぐ元の状態に戻ってしまいます。

 

そのため、痛みが出てしまう原因である、股関節の動きをよくしていく事、そのために腰から股関節についている腸腰筋という筋肉の動きをよくしていきます。

 

そして仙腸関節の動きをよくしていく為に、骨盤から腰の骨についている腸腰靭帯という靭帯の動きよくしていく治療をおこないます。

 

また、お尻の筋肉などが弱くなっており、腰やお尻の筋肉に負担をかけてしまいやすい体の状態なので、電気の治療でお尻の筋肉を鍛えていきます。

 

自宅ではお尻の筋肉のストレッチなどをご自身でしてもらうように指導しました。

<治療のゴール設定>

 

歩いたり、立っていても痛みが出ない状態にしていきます。

<治療期間と頻度>

週2回、3ヵ月の治療期間を提案しました。

 

【経過】

<治療経過>

 

治療7回目までで股関節の動きや仙腸関節の動きが少しずつ改善され、座ってから立ち上がる動作での痛みや、歩いていての痛み、立っていて痛みの度合いが6割程改善してきました。

 

それに伴い、お仕事中の腰の痛みもたまに感じる程度になってきました。

 

自宅でのストレッチも継続して行っていただけています。

 

今後はお尻の筋肉の使い方がまだ弱いので、お尻の筋肉の運動も一緒に行えるよう指導し更なる改善を目指します。