介護の仕事をしていて腰を痛めてしまった20代女性のケース

患者情報:23歳女性。介護福祉士を5年されています。

 

 

【問診】

<お悩み>

5年程前から腰の痛みがあったが、ここ最近痛みが徐々に強くなり、仕事をする上で辛いです。

 

<問診でお伺いしたこと>

Q、これまでに腰の痛みを病院で治療されたことはありますか?

ありません。

 

Q、どんな動作でどんな痛みを感じますか?

同じ体勢でじっとしている時に腰が痛いです。特に立ちっぱなしの姿勢が辛いです。

仕事での介護動作で患者を抱える時に腰に痛みが出ます。重く鈍いような痛みです。

 

Q,その他、気になることはありますか?

自分自身では骨盤のゆがみが原因ではないかと思っています。

 

【検査】

<動きの検査>

・腰の動きの検査:前屈した時には痛みはなく、後屈した時に筋肉部分(起立筋部)に痛みが出ました。

回す動作でも痛みはありませんでした。

 

・股関節の動きの検査:股関節の動きが多少緩く、その為腰部にかかる負担も多くなっているように見受けられました。

仙腸関節の動きは正常でしたが、太ももを伸ばす動きで筋肉部分(起立筋部)に痛みがでました。

 

<筋力検査>

足の親指の筋力を測定する検査結果から、神経学的な問題はありませんでした。

ただ、お尻の筋肉が弱く、インナーユニット(お腹周りの深部の筋肉)も筋力が弱いことが分かりました。

 

<その他の検査>

仙腸関節の圧迫・離開検査からも、改めて神経学的な問題はないことが分かりました。

また仰向けの状態で骨盤を後ろに傾けながら圧迫すると腰の上部に痛みが出ることから筋肉部分(起立筋部)が伸ばされることでストレスがかかっていることが分かりました。

また姿勢の問題としては、立った状態では骨盤が前に傾き反り腰であること、座った状態では骨盤の傾きが起こらず猫背の姿勢であることがわかりました。

 

【検査結果から考えられること】

<腰痛の分類>

問診での体の状態、検査の結果が全て正常であること、また腰部の筋肉部分(起立筋群)に伸ばす動作によって痛みが発生することから、姿勢を保持する筋肉である起立筋群が硬くなってしまう筋膜性腰痛であると考えられました。

 

<原因の分析>

立っている姿勢が長く続く際に痛みが最も強いことから、立っている姿勢に異常があると考えられました。

つまり起立筋部の緊張、お腹周りとお尻周りの筋力低下により、骨盤が前に傾きすぎ、起立筋部が硬くなって腰部に痛みが発生したと考えられました。

 

 

【施術プラン】

・施術期間:この患者様に対し提示したプランは2つです。

短期(2~3週間)プランでは最近の強く増した痛みを抑え、初めての来院時の痛みを半減もしくはそれ以下にし、常に重い鈍い痛みを感じる状況を改善すること。

長期(3カ月)プランでは筋力をつけて今後仕事を続けていく上で良い状態が長く続きやすい体を作って行くこと。

この二つを提示しました。

 

・施術方針

盤の前に傾きすぎる状態を改善し姿勢を修正するために、EMS(波動電流)によるお腹とお尻周りの深部の筋肉の強化と共に、手技により硬くなった筋肉を改善していきます。

これらの方針で改善が見られない場合、介護動作でかかる負担が肩甲骨や胸郭関節にもかかってくるため、これらの場所でも手技による筋肉の動きやすさを出していくことも視野に入れていきます。

 

・施術目標

約五年前から腰痛が気になり出した際の状態に近づけること。

仕事上、腰にかかる負担は多い為、痛みの度合いでは初めての来院時の痛みを10とした時、今後は10→1、2の痛みに落ち着けることを目標としました。

また、今後仕事を続けていく上で、腰にかかる負担を最小限に抑えられる体を作って行くことも同時に目標とします

・その他

自宅でのお腹を凹ませる動作であるドローインを行いながら、腹圧を高めるトレーニングも指導しました。

 

【その後の経過】

施術開始2週間で痛みの度合いは10→6へ、三週間で10→4へと痛みはほぼ半減しました。立ちっぱなしの状態では腰の痛みはほとんど気にならないが、介護動作での疼く痛みはまだ残っていました。

施術後1カ月では、お腹に力が入るようになってきていました。

施術後2カ月では、痛みの度合いは10→1へとほぼなくなってきていました。介護動作でも痛みを覚えることがなく反り腰も改善されてきました。

施術後3カ月でも痛みの度合いは10→1とほぼ痛みを感じない状態をキープしており、姿勢の問題もなく、腹圧もしっかりとついてきている様子が見受けられました。

 

この患者様は週2回の通院が継続して続けられ、早い段階からEMS波動電流でインナーマッスルを作る施術を行うことができました。同時に、患者様も自宅でのトレーニングに積極的に取り組むことが出来たため、計画通りに進むことが出来たと考えられました。

 

 

尚、介護業務に加え別の仕事ももう一つ行っているとのことで、日常生活の負荷が多い為、定期的なメンテナンスを進めていく予定です。