変形性股関節症により、歩行時の痛みが辛い60代女性の相談事例

 

患者情報:69歳 女性

 

【問診】

<お悩み>

腰が痛い中年女性

変形性股関節症により、歩行時の痛みが辛く、長い距離を歩くことが出来なくなってしまった

 

<患者様からお伺いしたこと>

 

Q,どんな動作をした時に痛みを感じますか?

 

歩いている時に、太ももの前側やお尻のところに痛みを感じます。

 

歩く動作の中でも、脚を前に出す動作で痛むことが多く、動きが悪いように思います。

 

Q,痛みがあるのは具体的にどの部分ですか?

 

特に右側の方が症状を強く感じます。

 

Q,腰には痛みはありますか?

 

腰に痛みを感じることはありません。

 

Q,痛みの出やすい時間帯はありますか?

 

特に朝に痛みを強く感じることが多いように思います。

 

動いていると少し痛みはましになってきます。

 

Q,歩行時に痛みを感じた際、前にかがむ姿勢をとると楽に感じますか?

 

いえ、特に思い当たりません。

 

Q,辛い体勢はありますか?

 

正座は辛うじて行うことは出来ますが、脚を上にあげる動作やあぐらをかくことが出来ません。

 

Q,痛み以外で気になることはありますか?

 

自分では、身体が傾いてきたような気がします。

 

Q,お仕事はどんな内容ですか?

 

普段は、週に2回4時間立ちっぱなしでアルバイトをしていますが、痛みで立っているのが辛く感じます。

 

Q,これまで整形外科や整骨院を受診したことはありますか?

 

整形外科でレントゲンを撮ったところ、左右の股関節が変形性股関節症であると診断されました。

 

又、脊柱管狭窄症とも診断を受けました。

 

今は、神経の痛みを抑える薬を処方されましたが、特に感じる変化ありません。

 

【検査】

股関節の痛みの原因を調べるために、以下の検査を行いました。

<動きの検査>

腰の動きの検査

前屈をした時に、股関節の前面に痛みが出る為に、少しの動きしか行えませんでした。

 

後ろに反らす動作をした時は、痛みはありませんでしたが、動きが悪くなっていました。

 

腰椎骨盤リズムの乱れも見られました。(※1)

 

(※1)腰椎骨盤リズムとは、股関節を曲げたり、伸ばしたりする際に、同時に腰椎と骨盤が連動して動くということを表したものになります。

 

正常に動作するときは、腰椎が先に屈曲し始め、次に骨盤が屈曲し始めます。

 

起き上がるときは骨盤が先に伸展し始め、腰椎が続いて伸展し始めます。

 

股関節の動きが悪い場合、腰椎が代わりになって動作を行うことで過剰な負担が発生し、腰に痛みが出ることがあります。

 

逆に腰椎の動きが悪い場合、股関節が代わりになって動作を行うことで過剰な負担が発生し、股関節の変形や痛みを生じやすくなります。

 

股関節の動きの検査

股関節を捻じる動作がほとんど行えないほど固く、外旋筋群という筋肉が硬くなっていることが疑われました。

 

股関節の前側にある腸腰筋という筋肉と、内側にある内転筋が拘縮硬くなっていることが疑われました。

 

また股関節を曲げる動作が硬く、ハムストリングス、大腿四頭筋という筋肉も緊張していることが疑われました。

<神経症状の検査>

・神経症状の検査を2種類行いましたが、腰から出ている神経にもやや問題があることが疑われました。

<筋力テスト>

・お腹の深部にある筋肉であるインナーマッスルの筋力が低下していました。

 

・お尻にある筋肉である殿筋群の筋力が低下していました。

 

【検査結果から分かること】

股関節

<股関節痛の分類>

今回の股関節痛は、変形性股関節症という疾患によって引き起こされたものでした。

 

股関節は骨盤と大腿骨のつなぎ目の関節で、大腿骨の先端を臼蓋が包み込む構造をしています。

 

変形性股関節症による痛みは、大腿骨と臼蓋の軟骨がすり減って、炎症を起こしたり骨が変形したりすることで引き起こされることが多く見られます。

 

軟骨がすり減る原因として、最も多いのが、骨の形に異常がある場合ですが、日本人に多い骨の形の異常に「臼蓋形成不全」という病気があります。

 

普通は骨盤の骨が大腿骨の頭を3分の2以上覆っています。

 

しかし、臼蓋が十分に発育しない「臼蓋形成不全」は大腿骨を覆っている部分が小さいため、通常より少ない軟骨の範囲で体重を支えることになります。

 

負荷が狭い範囲に集中し、軟骨の負担が大きくなり、すり減ってしまうのです。

 

そのような状態を変形性股関節症と呼びます。

<変形性股関節症の原因の分析>

この患者様の場合、変形性股関節症と診断を受けておられますが、それ自体を改善することはできません。

 

しかし、治療をすることで、進行させずに悪化することを食い止めていくことは可能です。

 

変形性股関節症と診断を受けた方の中にも、自覚症状が全くないという方がおられます。

 

すなわち、変形性股関節症=痛み という訳でないのです。

 

その他の機能低下を引き起こしてしまっている問題を改善していくことが、症状緩和へと結びついていくのです。

 

特にこの患者様の場合、お尻の筋力が衰えてしまっていた結果、身体の使い方のバランスが崩れ、股関節周りの筋肉が庇って働きすぎてしまうことで筋肉が硬くなってしまい、股関節がほとんど動かない状態になっていました。

 

その為、痛みが出たり、歩行障害をきたしやすくなっている状態であると分析しました。

 

【施術計画】

指圧・整体

<施術方針>

初期の段階では、股関節の動きを正常に近づけていく為に、外旋筋群、腸腰筋、恥骨筋という筋肉に対して手技での施術を行います。

 

又、特殊な電気施術を使い、深部の筋肉に対して刺激を与え、緊張している筋肉を緩めていきます。

 

固まっている筋肉を緩めていくことを第一に施術を行っていきます。

<施術のゴール設定>

股関節の動きを取り戻すことによって、歩行をスムーズに、痛みの少ない状態で行えるようにすることをゴールとしました。

<施術期間と頻度>

股関節周囲の筋肉が固まっている状態が強い為、週2回の頻度で、4カ月間の施術期間が必要であるとお伝えしました。

 

【まとめ】

今回の患者様は、変形性股関節症と診断され、左右の股関節の痛みで歩行や立っているだけでも辛い状態でした。

 

変形性股関節症は、日本人に多い骨の形成不全から引き起こされることの多い症状です。

 

通常よりも小さい状態の骨に負担がかかりすぎることで、骨の変形やすり減らしが起こります。

 

ただし、この患者様の場合、変形性股関節症だから痛みが出ている訳ではなく、お尻の筋肉が弱いことで体の使い方に無理が生じ、その結果として股関節の動きが非常に悪くなったことで痛みなどの症状が現れていました。

 

そのため、今後は股関節の動きを改善するために、その周りの筋肉が固まっている状態を元に戻していくことが重要となります。

 

四ヶ月という期間はかかりますが、根本の問題を解決することで日常生活が楽に過ごせるように、サポートしていきます。