夜寝られない肩の痛み。着替えで痛い肩の痛みの改善事例

患者情報:67歳 男性。高校教諭

 

【問診】

<お悩み>

2カ月前から左肩の動きが悪くなり、日常生活動作に支障が出始めてきた

 

<患者様からお伺いしたこと>

Q,どんな動作でどこに痛みがでますか?

服を着たり、脱いだりする動作など、腕を上げる動作で左肩の後面に痛みが出ました。

 

Q,腕を動かさなくても痛みは感じますか?

就寝中に寝返りを打つと左肩に痛みが走り、夜も痛みで起きることがありました。

2カ月くらい前は安静にしていても、うずくような痛みはありましたが、今はありません。

 

Q,痛みは当初よりひどくなっていますか?

痛む強さは2カ月前と比べると2割ほどは落ち着いてきているように思えます。

 

Q,痛むきっかけはありましたか?

痛み出した頃は、突然出てきたわけではなく、徐々に痛みが出てきました。

 

Q,過去に運動はなにかされていましたか?

合気道や剣道を趣味で長年していました。

 

Q,肩の痛みを整形外科等に行かれましたか?

X線を撮影したところ、五十肩だろうと言われました。

骨がS字に曲がっているとも伝えられました。

その時に治療は特に行っていないが、肩を動かすようにしてくださいと指導されました。

 

【検査】肩の痛みの原因を調べるために、以下の検査を行いました。

(動きがどれくらい制限されているかが判断材料として重要になりますので、動きの検査を中心に行いました。)

 

<動きの検査>

・肩の動きの検査:肩の正常な可動域は、外転(外に上げる動作)180度、挙上(前に上げる動作)180度、伸展(後ろに引く動作)50度に対し、この患者様は、外転120度、挙上150度、伸展30度という動きしかありませんでした。

また、動きが止まってしまう角度で、肩の前や後ろに痛みが走り、これ以上動かない固まった状態であることがわかりました。

その他、全ての肩関節の動きは正常と比べると低くなっていました。

 

・首の動きの検査:首の正常な可動域は、屈曲(下を向く動作)60度、伸展(上を向く動作)50度、側屈(横に倒す動作)50度に対し、この患者様は、屈曲60度、伸展40度、側屈30度という動きでした。

 いずれも動かしたときの痛みはありませんでした。

・肩甲骨の動きの検査:今回はリーチング動作(両手を真横に伸ばし、片方の手でもう片方の手首を掴むことができるかの検査)を調べましたが、手が肘くらいまでしか届かず、動きに制限がかかっていました。

 

<その他の検査、所見>

・肩甲骨が歪み、正常な肩甲骨の位置からずれてしまっていることが分かりました。

・骨盤が後ろに傾いている状態で、全体的に姿勢が座っている姿勢でも、立っている姿勢でも猫背となっていました。

【検査からわかること】

<肩部痛の分類>

今回の肩痛は、広い意味で肩関節周囲炎に分類されます。

一般的には四十肩・五十肩といいます。

肩関節周囲炎の特徴は、大きく分けて2つ、動きの制限と痛みを伴います。

その分類の中でも「関節拘縮型」といい、肩関節の運動に制限がかかり、引っ掛かりを生じてしまう状態でありました。

四十肩の治療は「急性期」「慢性期」「回復期」の3段階に分かれますが、現状、炎症が起こっている状態は見られませんでしたので「慢性期」の段階であります。

この段階では、肩関節周囲筋が癒着を起こし、動きが低下してしまう段階です。

 

<肩部痛の原因は?>

主に肩関節は5つに分けられるのですが、こちらの患者様は「肩甲上腕関節」と「肩甲胸郭関節」の癒着が強く発生していることにより、肩甲帯の機能が損なわれてしまい、肩関節の動きの制限が生じていました。

筋肉自体が硬く縮こまってしまうことによって、関節の動きに制限をかけてしまい、結果として痛みが発生する原因となっていました。

又、四十肩・五十肩の症状は数ケ月放置しておいても、痛みは緩和することが多いですが、一般的に3~4カ月以上かかることが多く、痛みが取れた後も動きの制限が改善されないまま治ってしまうことが多い為、施術の必要性をお伝えしました。

 

【施術計画】

<施術方針>

「慢性期」に入り、関節拘縮が起きていますので、固まった筋肉を元に戻していく施術をメインに行います。

具体的には肩甲骨周囲の筋肉のリリースを行い、更に奥深い筋肉に対して特殊な電気施術を行います。

又、ストレッチポールを用いて、痛みが出ない範囲でご自宅でも肩回りのストレッチを行ってもらうように指導をしました。

 

<施術目標>

肩の動きが悪くなっているのを正常な動きに戻しながら、痛みを消失させることを目標とします。

 

<施術期間と頻度>

肩周囲の筋肉が短く縮んで、伸びなくなっていることにより痛みが発生しているため、週に2回2カ月の施術を提案しました。

肩関節の動きが90度以下の場合であれば、更に期間は必要となりますが、120度以上の動きはありましたので、上記期間で改善すると判断しました。

 

【施術経過】

・3回施術終了時、肩甲帯の動きが改善しだし、外転(外に上げる動作)150度、挙上(前に上げる動作)160度まで動くようになりました。

初診時と比べ、10~20度ほど大きく肩を動かせるようになりました。

痛みの強さも半減しました。

 

・8回施術終了時(1ヵ月)、肩甲帯の動きが更に改善し、外転(外にあげる動作)170度、挙上(前にあげる動作)175度まで動くようになりました。

肩を後ろに回す動作に関しては、まだ痛みを伴っていますが、それ以外の動きではほとんど痛みを感じることは無くなってきました。

 

・13回施術終了時(2カ月)、肩甲帯の動きが改善し、肩を動かせる範囲が正常の範囲にまで回復しました。

また、痛みもほとんど感じることなく、日常生活動作で困ることは無くなりました。