物を持ち上げようとすると右肘から右手が痛む60代男性の改善事例

遠塚

患者情報:64歳 男性

 

【問診】

<お悩み>

重いものを持つ 男性

 

物を持ち上げようとする際に右肘から右手にかけて力が入りづらく痛みを感じる

 

<患者様からお伺いしたこと>

 

Q,症状はいつ頃からですか?

 

1カ月前から、荷物を持ち上げようとする際に右肘から右手にかけて力が入りづらい感覚が出始めました。

 

Q,荷物を持つ際には、常に力が入りづらいですか?

 

持ち運びをする際に常に気になる訳ではありません。

 

角度によって、力が入りづらく感じます。

 

Q,この症状で整形外科や整骨院等を受診されましたか?

 

鍼灸院で針治療をして、当初の痛みが10だとすると5迄は下がりました。ただ、針治療は苦手だったので、こちらへ来ました。

 

Q,お仕事ではどんな作業が多いですか?

 

5キロくらいの段ボール箱を多く持ち運びを行い、車に乗せる作業のアルバイトを現在行っています。

 

以前はデスクワークの仕事を何十年と行っていましたが、身体に不調を感じたことはありませんでした。

 

Q,痛みが増す体勢などはありますか?

 

痛みの出る右肘を下にして就寝すると、痛みが強くなることがあります。

 

Q,日常の動作で右手に痛みが出ることはありますか?

 

お箸を持ったり、ペンを握ったりする際に痛みが出てくることはありません。

 

【検査】

肘から手にかけての痛みの原因を調べるために、首から手にかけて(頸部、胸部、肘部、手部)の検査を行いました

 

(同じような症状の場合、関連痛といい、中枢(頸部や胸部等)から痛みを発している場合もありますので、患部以外の状態も含め検査を行いました。)

<首(頸部)の検査>

頸部の動きの検査

動かしたときの痛みや、動く範囲に問題はありませんでした。

神経症状の検査

頚椎の神経に触れてしまい、腕に症状を発していないか検査を行いましたが、異常はありませんでした。

<肩~胸(肩部、胸部)の検査>

肩部の動きの検査

動かしたときの痛みや、動く範囲に問題はありませんでした。

 

又、肩甲骨も正常に動いていました。

 

神経症状の検査

胸郭出口症候群の可能性を疑い、検査を行いましたが、異常は見られませんでした。

<腕(肘部、手部)の検査>

腱鞘炎の検査

軽い椅子を、手首を返すように持ち上げるように指示を出し、痛みの有無を確認しましたが、痛みは出ませんでした(チェアーテスト)。

 

・右手の中指を反らせる動きに抵抗を加えて、肘の外側の筋肉が損傷していないか確認をしましたが、痛みは出ませんでした(ミドルフィンガーテスト)。

 

・母指と一緒に手首を小指側に曲げると、痛みが強くならないか検査をしましたが、問題はありませんでした(フィンケルシュタインテスト)。

 

・神経自体の損傷がないか確認をしましたが、異常はありませんでした(チネルサイン)。

 

筋肉の検査

肘の外側の筋肉(腕橈骨筋)と前腕の中央部の筋肉(浅・深指屈筋)を押さえると、痛みを強く感じました。

 

【検査結果から分かること】

<肘痛の分類>

今回の肘から手にかけての痛みは、「筋―筋膜性の痛み」だと考えられました。

 

日常生活上で、重い荷物を良く持ったりするなど、腕を酷使することによって、筋肉が疲労を起こす、オーバーユース(使い過ぎ)による痛みでした。

<筋―筋膜性肘痛の原因の分析>

筋肉は輪ゴムと同じ性質を持っており、うまく伸びたり、縮んだりして、物を持ったり、動かしたりします。

 

こちらの患者様の場合、使いすぎて負担がかかりすぎたことによって、腕の外側の筋肉と真ん中の筋肉が「癒着」といって、うまく伸び縮みが出来なくなった結果、痛みを発したり、力が入りづらくなっているものであると判断しました。

 

【施術計画】

腕 整体

<施術方針>

腕の筋肉が疲労を起こしすぎて、うまく伸び縮みが出来ていないことが痛みを発している要因ですので、腕の筋肉の質を改善することに集中して施術を行っていきます。

 

具体的には、手技療法で腕の肘から下の部分、前腕部の筋肉の癒着をはがし、特殊な電気施術を行います。

<施術のゴール設定>

腕の力が入りづらいことや痛みを発しているのを、全快することをゴールとします。

 

<施術期間と頻度>

3週間~1ヵ月の期間で、週2回の施術を提案しました。

 

単なる筋疲労だけであれば、1、2回の施術で改善しますが、この患者様の場合、癒着が起こっていると判断したため、上記期間を提案しました。

 

【施術経過】

初回施術終了時

動かしたときの痛みは半減しましたが、力が入りづらい感覚は残っていました。

 

3回目施術終了時

初診時と比べると痛みは軽減していましたが、日常生活上、腕を使うと痛みが元に戻りやすい状態でした。

 

筋肉の正常な伸び縮みがまだできていない状態でのため、痛みが元に戻りやすくなります。

 

5回目施術終了時(2週間)

初診時と比べると痛みの程度は半分まで低下してきました。

 

また、その状態を維持できるようになってきましたが、腕を捻じる動作に関しては、まだ痛みが残っている状態です。

 

8回目施術終了時(3週間)

痛み自体はほぼ気にならないレベルまで低下しました。

 

ご本人の感覚的には、腕の奥の方に若干違和感が残るとおっしゃっていました。

 

しかし、どの動作を行っても痛みは出ないようにはなりました。

10回施術終了時(1ヵ月)

痛みも違和感も全くなくなり、仕事上、重い荷物を持ち上げたりしても気にならなくなりました。

 

又、力が入りづらい感覚も改善され、日常生活動作で困ることはなくなった為、施術を終了しました。

 

【まとめ】

 

今回の症例では、右手の痛みや、力の入りづらさを感じて日常やお仕事にも影響が見られたことで来院された患者様をご紹介しました。

 

神経障害からくる関連痛も視野に入れて検査を行いましたが、神経に特に異常は見られず、今回の痛みは「筋―筋膜性」、つまり筋肉の使い過ぎによる痛みであると結論付けました。

 

しかし、ただ単に筋肉を使い過ぎただけでなく、筋肉が癒着している状態が見られましたので、筋肉の質を改善することを目指し、手技と電流による施術を行いました。

 

結果、一カ月の施術で長く悩んでおられた症状はすべて改善したため、無事に施術を終了しました。